文旦

2024年2月某日

 近所を散歩中、みかんの木をあちこちの家の庭で見かける。みかんの木であるというのは、僕が見た瞬間にそうと分かったのではなくて、無礼を承知でその木をGoogleレンズでパシャリと撮って、今ごろ知ったかぶりをしているに過ぎない。見た瞬間には、なにやら柑橘類の果実が成っているのは分かったけれど、みかんと断定するにはあまりにも実が大きいような気がした。片手ではとても包みきれず、両手でようやくホールドできるような大きさに見える。そして実が黄色かったので、突然変異した巨大な丸型レモンを趣味で栽培している奇特な住民がいるのかと思った。

 後からGoogle先生に窺ってよく調べてみると、Googleレンズ講師の講義内容が曖昧だったのか知らないが、文旦という黄色くて大きな柑橘類が存在するようで、僕自身もその名を聞いたことがあるし、記憶と照らし合わせてもやはりあれはみかんではなくて文旦の木だったようである。庭の芝生にごろりと落ちていた文旦が二つほど、午後1時の明るい日差しに照らされて、もとから鮮やかであった黄色をさらにキラキラと美しくしていた。

 するとそこに、この前書いた尾の長い「小さい方」の鳥がやって来て、生い茂る葉の中に身を隠したり出てきたり、何やらそわそわしている。彼らにしても、文旦から良い匂いのすることは分かっているけれど、いざ来てみたら皮が丈夫でどうにも手(嘴)が届かないので、やきもきしているのかも知れない。ちなみに僕は最近、鳥に関する知恵が多少ついてきて、今まで言っていた「小さい方」というのは、ヒヨドリだということを覚えた。